相続放棄手続きの方法、期限や注意点も解説
家族や親戚の財産を相続するとき、多額の借金が多い場合は相続放棄を検討しましょう。
相続放棄とは、故人の財産について相続する権利を放棄することです。
この記事では、相続放棄について詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。
相続放棄とは
相続放棄とは、故人(被相続人)の財産に対する相続権のすべてを放棄することです。
すべてを放棄するので預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、負債などのマイナスの財産も含まれます。
プラスの財産
プラスの財産とは以下のような財産をいいます。
- 現金・預貯金
- 土地・家屋
- 知的財産
- 株式
- 貴金属・絵画骨董品 など
マイナスの財産
マイナスの財産とは以下のような財産をいいます。
- 借入金
- 未払い金
- 各種税金 など
相続放棄の手続き方法
相続放棄の申述は、被相続人(故人)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所でおこないます。
相続放棄の手続きについて、解説します。
必要書類
相続放棄ではおおむね以下の書類が必要です。
- 相続放棄申述書
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票
- 申述人(放棄する方)の戸籍謄本
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
申述人と被相続人の関係によっては必要書類がが変わる場合があります。
相続放棄の費用
相続放棄の申請は、相続放棄申述書に添付する800円分の収入印紙代がかかります。
それ以外には、先述の戸籍関係の書類の取得費用や、郵送代がかかります。
相続放棄の期限
相続放棄の手続きには期限があります。
相続放棄の手続きが可能な期間は、「相続の開始があったことを知った時から3か月以内」です。
家族が亡くなると、通夜・葬儀だけでなく、様々な手続きなどで忙しく、思っている以上に早く時間が過ぎてしまうものです。後になって後悔をしないためにも、優先して確認作業を始めてください。
期間を延長したいとき
「相続の開始があったことを知った時から3か月以内」を熟慮期間といいますが、熟慮期間を延長したい場合は、「相続放棄の期間の伸長の申立」を家庭裁判所におこないます。
相続放棄の注意点
借金などのマイナスの財産を相続しなくてよくなる相続放棄ですが、注意点もありますので、おさえておきましょう。
撤回できない
原則として、相続放棄をしたあとは撤回はできません。相続放棄したあとにプラスの財産がみつかったとしても、撤回ができないので相続財産の調査は抜け漏れなくおこないましょう。
すでに単純承認している
単純承認とは被相続人の権利や義務の全てを無条件で相続することをいい、主に以下の行為をおこなうと単純承認したとみなされます。
- 被相続人の預貯金の解約・払戻の手続き
- 被相続人の現金を使用する
- 被相続人の財産を譲渡する
- 被相続人の家屋の取り壊し
ルールを知らなかった、というのは理由になりませんので、注意してください。
3カ月を過ぎている
期限を過ぎてしまったときは、期限内に相続放棄の手続きができなかった理由とそれを証明する資料などの提出が必要になります。手続きが複雑になるため、弁護士などに相談したほうが良いでしょう。
まとめ
相続放棄をするための手続きは、相続人がご自身でおこなうことができます。
ただし、相続放棄をおこなう前に財産を処分してしまったり、期限をすぎてしまったりすると受理されなくなるので、その点には注意が必要です。
ご自身でおこなうのが無理だと感じたら、専門家に手続きの一部、またはすべてを依頼することを早めに検討してください。
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