遺産相続手続き代行|相続手続きの流れと依頼する専門家の選び方、費用の目安【行政書士監修】
大切なご家族や大切な人が亡くなった場合に発生する相続手続き。人生の中でそう何度も経験することではありません。
相続には、預貯金の名義変更や解約、生命保険金の請求、不動産の相続登記、税務署への申告など、亡くなった方にまつわるさまざまな権利・義務の手続きがあります。ひとつひとつはそれほど難しい作業ではないようにも感じるかもしれませんが、悲しみの中、限られた時間の中でいくつもの手続きをおこなうことは大変な困難を伴う場合も多いようです。相続手続きの代行とは、このような人が亡くなった際の遺産相続手続きを、相続人に代わって専門家がおこなうサービスです。
ここでは、どのような専門家がどういった相続手続きの代行を行えるのか、代行を依頼するメリットやかかる費用の目安をお伝えします。
目次
相続手続きの概要
相続とは、ある人(被相続人)が亡くなった際に、故人の財産を特定の人(相続人)が引き継ぐことを言います。したがって、相続に関する手続きは被相続人が亡くなった時から始まります。
残された家族や身近な人は、死亡届を提出し葬儀をおこなう段取りを進める一方で、親族や関係者への連絡やさまざまな手続きを進めていかなくてはいけません。
手続きの内容は一例を挙げるだけでも、健康保険・遺族年金等の役所の手続き、預金や生命保険金といった金融機関での手続き、公共料金、クレジットカード、携帯電話など身の回りのものに関する解約や名義変更など、数多くの煩雑な手続きがあります。
これらの相続手続きを相続人本人が自分でおこなうことは、不可能ではありません。しかし、相続人にも仕事や日々の生活がある中で、多岐に渡る手続きをこなしていくのは、大変な時間と労力がかかることは間違いありません。また、これらの手続きには期限が設けられているものもあります。
残された家族や身近な人の負担を軽減し、限られた時間の中で適切に手続きをおこなうためには、専門家に相続手続の代行を依頼することも検討することをおすすめします。
相続手続きの流れ
被相続人が亡くなると同時に相続は開始されます。相続人は、死亡後7日以内に故人の死亡届を市区町村役場へ提出します。それら役所で火葬許可証や埋葬許可証をもらって葬儀などをおこなうのと並行して、相続手続きも進めていきます。以下、相続手続きの大まかな流れを説明していきたいと思います。
①相続人の調査・確定と遺言書の有無の確認
人が亡くなると、資産や負債はその人の相続人が受け継ぐことになります。相続については、法律で相続人(法定相続人)と相続の順位、相続の割合(法定相続分)の原則が定められています。相続手続きの最初の段階として、戸籍謄本などを取得し、法定相続人が誰かということと、それぞれの順位を調査し、確定する必要があります。故人の戸籍を取得する際には、戸籍謄本や除籍謄本だけでなく、故人の生涯で作られたすべての戸籍をさかのぼって取得します。
また相続人には、法律上の法定相続人だけでなく、遺言書上の相続人(指定相続人)がいます。指定相続人の有無を確認するためには遺言書の有無の確認が必要です。
遺言書には主に、被相続人が自分で作成する自筆証書遺言(財産目録のみは手書きでなくても可)、公証役場で公証人によって作成する公正証書遺言、そして遺言書の存在することのみを公証人に証明してもらう秘密証書遺言があります。公正証書遺言以外の自筆証書遺言と秘密証書遺言は、開封する前に家庭裁判所に検認を申請します。遺言書の偽造などを防止するため、相続人が勝手に封を開けることは禁じられています。
②相続財産を調査し、概算を把握する
相続人が把握できたら、次に相続する財産(遺産)を調査し、目録にまとめて相続財産の全体を把握します。
財産にはプラスの財産(資産)だけでなくマイナスの財産(負債)もあります。相続人は、すべての財産を相続する単純相続だけでなく、すべて放棄する相続放棄や相続する財産を限度として相続する限定承認を選択することができます。どの選択をするか決めるために、相続財産を調査し資産価値の概算を把握することは、とても重要です。
③単純相続、相続放棄、または限定承認の判断をする
②で出した相続財産の概算によって、すべての財産を相続するか、または放棄するか、限定的に相続するかを決定します。
相続放棄や限定承認をおこなう場合は、相続人が相続開始を知った時から3ヵ月以内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ申述する必要があります。
限定承認とは、相続を受けた相続人が、被相続人の債務などをプラスの相続財産の範囲内で引き継ぐというものです。故人の財産を調査した際に、相続をしてしまうと債務超過の恐れがあるものの、清算してみないとわからないような場合におこなわれます。相続人が複数人いる場合には全員で家庭裁判所に申述しなければならないなど、手続きは複雑です。限定承認をするべきか判断に迷った場合には、専門家への相談をおすすめします。
④遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成する
相続財産を相続人で相談して分けることになった場合には、遺産分割協議が必要です。遺産分割協議は相続人全員が参加しなくてはいけません。相続人に未成年者がいる場合は、その代理人の参加も必要です。
協議の結果、成立した遺産分割協議の内容で相続手続きをおこなう場合は、その内容を記載し、相続人全員が実印で押印、印鑑証明書を添付した遺産分割協議書を作成する必要があります。
遺産分割協議書は不動産の登記や金融機関での払い戻し、自動車の名義変更などさまざな場面で求められることがある法的な書類です。正しく書かれていないと後々のトラブルにつながることもあるので、作成は行政書士や司法書士などの専門家に依頼するのがおすすめです。
⑤被相続人の所得税申告(準確定申告)をおこなう
被相続人の生前における所得について、必要であれば、亡くなった年の1月1日から亡くなった日までの期間分の確定申告を行います。準確定申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内に申告と納税をしなければいけません。
⑥相続財産の評価・測量をおこなう
相続税を計算する場合は、相続により取得した財産を評価する必要があります。
主な相続財産ごとの評価方法
土地
|
宅地 | (路線価方式)路線価×補正率×面積 (倍率方式)固定汽産税評価額×倍率 |
---|---|---|
借地権 | 自用地の評価額×借地権割合 | |
貸宅地 | 自用地の評価領×(1ー借地権割合) | |
貸家の敷地 | 自用地の評価額×(1ー借地権割合×借家権割合) | |
建物
|
自宅 | 固定資産税評価額 |
貸家 | 固定資産税評価額×70% | |
手許現金 | 死亡日の手許残高 | |
普通預金 | 死亡日の残高 | |
定期預金 | 死亡日の残高+利息(源泉税は差し引く) | |
株式
|
上場株式 | 死亡日の終値 ただし死亡月・その前月・その前々月を参考にすることも可能 |
非上場株式 | 議決権割合などに応じ、原則的評価方式か特例的評価方式のどちらかで評価する | |
投資信託 | 死亡日の基準価額 | |
死亡保険金 | 受取金額。ただし非課税枠がある | |
死亡退職金 | 受取金額。ただし非課税枠がある | |
個人年金 | 一定の評価方法により評価する | |
ゴルフ会員権 | 死亡日の取引価格×70%(預託金がない場合) | |
金地金(ぢがね) | 死亡日の買取価格 | |
自家用車・絵画・家庭用財産 | 死亡日の時価。死亡日の時価が5万円以下の家庭用財産は一括で評価することも可能 | |
電話加入権 | 地域により異なる。平成29年は全国一律1.500円 |
評価方法は国税庁HP「相続財産や贈与財産の評価」に、土地家屋の評価や宅地の評価単位など多岐にわたって説明されています。ご参照ください。
⑦相続税の申告と納税をおこなう
相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内におこなうことになっています。例えば、1月6日に死亡した場合には、その年の11月6日が相続税の申告と納税の期限になります。
⑧相続財産の名義変更や解約をおこなう
遺産分割協議が無事まとまった後に、相続した財産の名義変更や解約手続きを行います。
⑨遺留分侵害額請求
遺留分侵害額請求とは、遺言や贈与により遺留分を侵害された相続人が、その遺留相当分を金銭的に取り戻すためにおこなう請求のことです。短期消滅時効に該当するため、遺留分権利者が相続の開始および遺留分を侵害する贈与や遺贈を知った時から、1年以内におこなう必要があります。
以上、相続手続きの大まかな流れを説明しました。
手続きの中には、決められた期限内に必ず行わなくてはいけないものがあります。そのため、特に期限のない手続きについても、それに合わせて進めていく必要があります。
下記一覧表は、それぞれの手続きの期限を表したものです。
相続手続きと期限の一覧
被相続人の死亡 | |
---|---|
7日以内 | 死亡届提出(※) |
3ヵ月以内 | 遺言書の有無確認 |
相続財産の調査・相続人の調査 | |
相続放棄・限定承認(※) | |
4ヵ月以内 | 被相続人の所得税申告・納付(準確定申告)(※) |
10ヵ月以内 | 遺産の調査・評価 |
遺産分割協議、遺産分割協議書の作成 | |
遺産の分割手続き(名義変更・換価処分) | |
相続税の申告・納付/延納・物納の申請(※) | |
1年以内 | 遺留分侵害額請求(※) |
(※)期限が決まっている手続き
相続手続き代行を専門家に依頼した方が良い理由
相続手続き(①~⑧、状況によって⑨)の専門家への代行依頼をおすすめする理由には、以下の4つの点があります。
知識が必要
相続手続きには法律の知識が必要です。知識を持って適切な手続きをおこなわないと、書類の準備や不備の修正に手間がかかってしまいます。さらに、納税額が多くなるなど金銭的な負担が大きくなる場合もあるので注意が必要です。
例えば、相続では相続順位に基づいて法定相続人が定められています。間違った知識で手続きを行い、法定相続人の漏れが生じた場合には、一から相続をやり直す必要があります。相続税も、特例などの知識の有無によって支払う税額が変わってきます。過少申告により追徴課税を払うことになったり、反対に多く払いすぎてしまったりする可能性もあります。
その点、厳しい試験に合格して国家資格を取得し、普段から専門家の研修会等で法律の学習をしたり法改正の情報を収集している専門家に依頼するのは、自身で手続きするよりも安心といえます。
時間がかかる
相続では、役所での手続きが欠かせません。市役所や法務局、裁判所などの公的機関は基本平日のみの開所です(夜間や土日に証明書を発行する行政発行センターがある場合もあります)。各機関ごとに提出書類や手続きが異なりますので、それぞれに対して書類を取り寄せ、相続人全員の署名捺印を揃えて提出する作業は時間と労力がかかります。
失敗ができない
相続手続きの中には、やり直すことができない手続きもあります。
例えば、その代表的なものが、相続放棄です。相続放棄は「相続を知った時から3ヵ月以内」に家庭裁判所へ申述をする必要があります。また、一度相続放棄をしてしまうと、やり直すことは基本できません。一方、間違った手続きを取ってしまうと、相続放棄そのものが認められなかったり、無効になってしまう場合もあります。
親族間での争族防止
預金の払戻手続きなどは、たいてい相続人のうちの一人が代表者となり、預金口座の名義変更や払戻手続きをおこないます。その後、代表相続人からほかの相続人へ振込などで分配します。しかし、代表相続人が分配を行わないリスクや、分配方法でトラブルになるリスクも考えられます。
また、遺産分割協議の際にも、協議の場に当事者以外の第三者がいることで、冷静に話し合いが進められトラブルを未然に防げる場合もあります。こうしたトラブルの回避や、公正な第三者が関与することによる話し合いの円滑化が図れるといった面でも、専門家へ代行を依頼するメリットがあります。
相続手続きの代行、専門家によって代行できない業務も
それでは、相続手続き代行する場合、誰に頼めばいいのでしょうか?
代表的な代行業者は「士業」と「銀行」です。
- 士業:税理士、行政書士、司法書士、弁護士
- 銀行:銀行、信託銀行
専門家によって代行できる業務とできない業務がある
相続手続きの中には、法律により定められた専門家でないとおこなうことが認められていない独占業務があります。
【各士業の代表的な独占業務】
- 税理士:所得税の準確定申告や相続税の申告に関する相談・書類作成・代理申告
- 行政書士:自動車の相続手続き
- 司法書士:不動産の名義変更(相続登記)
- 弁護士:遺産分割協議の代理交渉・紛争解決
このほかにも、限定された専門家しか取り扱えない業務もあります。
独占業務以外の手続きについて
各士業や銀行において、自分の専門分野以外の業務について手続きをおこなうことは法律上禁止されています。しかし、独占業務以外の、依頼できる相続手続きの内容については、士業・銀行それぞれで違いはありません。
また、銀行は、単体で行える業務はないため、基本的にすべての業務を各士業に外注します。それに対し、各士業は、資格に応じて認められた範囲内で手続きを行い、自分の専門分野以外については、ほかの士業との業務提携などにより手続きを進めていくのが一般的です。
相続手続き代行を依頼する専門家の選び方
相続手続きを代行してくれる専門家にはさまざまな種類があります。それぞれ専門分野は違いますが、業務提携等によって手続きを進めていくので、ある意味どこに頼んでも手続きは可能であると言えます。
しかし、各家庭の状況によって、相続の内容やそれにかかわる問題点も異なります。やはり解決したい問題への対応を得意とする専門家に任せた方が、メリットは大きいでしょう。
ここでは各専門家の特徴を踏まえて、代行する専門家を決めるポイントや注意点についてご説明します。
相続税が気になる場合は税理士
税理士はその名の通り、税に関するエキスパートです。
税理士の代表的な業務
- 税務相談
- 税務書類の作成
- 税務の代理
この3つについては、有料・無料を問わず、税理士のみに与えられた独占業務であることが法律で定められています。つまり、「相続税の申告」と「被相続人の準確定申告」に関する相談や書類の作成、申告手続きは税理士のみが代行できるということになります。
しかし、申告が必要となるケースは相続全体の8%程度 とそれ程多くはありません。まずは、法定相続人が何人いるのか、相続税の基礎控除額がいくらになるのかを確認し、相続税の申告が発生しそうな場合は税理士へ相談するのが良いでしょう。
税理士を選ぶ際のポイント
税理士にはそれぞれの得意分野があります。税理士試験は、相続税の他、法人税や所得税、消費税などさまざまな税法に属する科目の中から自分の得意とする科目を選択して受験します。つまり、税理士=相続税の知識に長けているとは一概には言えません。
経験や知識の少ない税理士に依頼をすると、誤った評価から税金を過度に支払ったり、反対に過少申告した結果、高額の加算税を支払うことになることもあります。税理士に依頼する場合は、相続税の相談件数や申告実績を確認して相続に強い税理士を選びましょう。
調査や書類作成だけを依頼する場合は行政書士
行政書士は、公的機関への提出書類作成におけるエキスパートです。
行政書士の代表的な業務
- 官公署に提出する書類
- 権利義務に関する書類
- 事実証明に関する書類
行政書士の業務は、主にこれらの書類に関する相談・書類作成・手続きの代理業務を行います。相続手続きでは、相続人や相続財産の調査や遺産分割協議書等の書類作成や相続した自動車の名義変更、預貯金の払い戻しをなど代理でおこなうことができます。
ただし、法的紛争段階にある事案や税務・登記申請業務に関するものについては取り扱うことができません。例えば、遺産分割協議書の作成段階で、特定の相続人の代理人として他の相続人と交渉することはできないのです。
代行業者の中では、料金体系が比較的リーズナブルですので、トラブルのない相続で、時間と労力のかかる戸籍の調査・収集や遺産分割協議書などの書類作成だけをお願いしたい場合、自動車の名義変更手続きをお願いしたい場合は行政書士へ相談するのが良いでしょう。
行政書士を選ぶ際のポイント
日本行政書士連合会登録の行政書士は48,639名(令和2年4月1日時点) です。司法書士の22,755名(令和2年6月1日時点)と比較してもその数の多さは歴然としています。
行政書士のサービスは非常に多岐に渡ります。行政書士によって請け負っている業務が全く異なりますので、必ず相続に関する業務を専門としている行政書士を選びましょう。行政書士事務所へ出掛け、行政書士本人に会ってから依頼の判断をするのが、一番確実ですが、まずは電話やホームページでお近くの行政書士事務所を調べてみるといいかもしれません。
不動産の名義変更がある場合は司法書士へ
司法書士は登記のエキスパートであり、登記申請の代理権を持っています。
司法書士の代表的な業務
- 登記または供託に関する手続についての代理
- 裁判所、検察庁または(地方)法務局に提出する書類を作成
- (地方)法務局長に対する登記または供託に関する審査請求の手続についての代理
- 裁判所または検察庁に提出する書類の作成、(地方)法務局に対する筆界特定手続書類の作成
- 上記の1~4に関する相談
不動産を相続する場合には、その不動産を誰がどのように利用するかといった問題も生じます。相続税を納税するために、相続した不動産を売却するケースも考えられます。不動産登記については、司法書士の独占業務です。相続財産に不動産が含まれている場合は、司法書士に依頼をすると良いでしょう。
また、司法書士は裁判所へ提出する書類の作成や提出を代理でおこなうことができます。遺言書の検認や相続放棄、成年後見人の選任申立てなどは家庭裁判所での手続きが必要です。これらは、司法書士と弁護士しか代行や相談をおこなうことができません。相続人間でトラブルがない場合で遺言書の検認や相続放棄が発生する際は、司法書士に依頼すると良いでしょう。
司法書士を選ぶ際のポイント
司法書士の取り扱い分野には、不動産売買、商業・法人関係の商業登記、成年後見業務など多数あります。相続手続き代行を依頼する際には相続登記に強い司法書士を選びましょう。
相続登記に強い司法書士を選ぶことで、次のようなメリットが考えられます。
- 効率的な書類収集で時間と費用を節約できる
- 不動産の手続き漏れがない
- 登録免許税の免税確認をしっかりしてくれる
トラブルになりそうな相続は弁護士に依頼
弁護士は法律の専門家であり紛争解決のエキスパートです。法的な根拠に基づき、依頼人の抱えるトラブルを解決するのが仕事です。ほかの専門家と違って、弁護士は依頼者の代理人となって話し合いに参加したり、交渉したりすることができます。
通常、遺産分割協議がまとまったら、相続人全員が遺産分割協議書に署名押印を行い遺産分割は成立します。ただし、遺産分割協議の話し合いがうまくまとまらないと、家庭裁判所へ調停を申し出ることになります。調停となった場合、相談にのったり代理人になれるのは弁護士のみです。
相続手続きは、法律的な知識が必要になるとても複雑な問題です。お金や財産が絡んでくる非常にデリケートな手続きでもあります。司法書士などほかの専門家に依頼した方が費用を安く抑えられますが、紛争になる可能性が高い相続の場合は、弁護士に代行を依頼するのがおすすめです。また、法律で定められた最低限の相続分、遺留分を侵害するような遺言があった際に遺留分侵害額請求を考える場合も弁護士に依頼しましょう。
弁護士を選ぶ際のポイント
- 遺産相続の実績・経験年数がある
- 料金体系が明確
- 話を聞いてくれる。質問にきちんと答えてくれる
- 金銭的な利益だけでなく、依頼人の人間関係も考慮してくれる
- ほかの業種と連携している
弁護士への代行を検討するのは、相続で何らかのトラブルを抱えている場合が多いかと思います。費用もほかの士業と比べて高額になりますので、慎重に選びたいものです。気になる弁護士事務所を見つけたら、まずは相談に行くことをおすすめします。「相談=依頼」とはなりませんし、初回相談料が無料の場合もあるので、相談に行きご自分との相性や信頼できる相手かをぜひ見極めてください。
銀行は相続後の資産運用のアドバイスがもらえる
銀行は、単体で相続手続きをおこなうことはできません。
窓口となって相続手続きの進行管理を行い、実際の各種手続きについては、提携する税理士や司法書士などへ必要に応じて外注していきます。そのため、銀行へ代行を依頼する場合は、銀行への報酬に加えて外注費用が発生し料金は割高になってしまいます。一方で、母体が大きく安心感がある、相続後の資産運用についてアドバイスがもらえるといったメリットもあります。
銀行に代行を依頼するメリット
- 信用力がある
- 相続手続き業務の歴史は長く、期日管理のノウハウに長けている
- 相続後の資産運用についてアドバイスが可能
銀行に相続手続き代行を依頼するデメリット
- 料金が高い
- 担当者が専門的な知識を持っている保障はない。異動等で変わる可能性もある
長年取引があり、担当者が資産を把握してくれている場合や、高額な遺産の相続である場合は、銀行への代行を検討してもよいかもしれません。
相続手続き代行にかかる費用の目安
これまで、相続手続きの概要と相続手続き代行をしてくれる専門家についての特徴を述べてきましたが、実際に代行を頼むとなると、気になるのが代行費用です。自分でおこなう場合に比べて費用が掛かるのが代行のデメリットであると言えます。また、料金がわかりにくいといった不声も多いようです。ここでは、相続手続き代行にかかる費用について、目安・相場をお伝えしたいと思います。
相続手続き代行にかかる費用の目安・相場
相続手続き代行費用の目安・相場は下記の通りです。
- 遺言書作成:10万~20万円程度
費用は遺産の額や、依頼する専門家によっても変動。公正証書遺言を作成する場合、別途公証人手数料なども - 遺産分割協議書作成:10万円程度
遺産分割協議の親族間の交渉を弁護士に依頼する場合、より高額になる可能性も - 不動産の名義変更:5万~10万円程度
別途、必要な書類の取得手数料(実費)、登録免許税、相続登記の登録免許税は固定資産評価額の0.4%など - 預貯金・株式の名義変更:5万~10万円程度
金融機関の数などによっても費用は変動 - 戸籍・住民票の収集:2万~5万円程度
必要な書類の取得手数料(実費) - 相続関係図の作成:2万~5万円程度
- 相続税の申告:遺産総額の0.5~1.0%程度
- 相続放棄:1人につき2万~
- 遺留分侵害額(旧:請求遺留分減殺請求)
内容証明郵便の送付
実際には具体的な相談の内容や、依頼する専門家によっても費用は異なります。また、複数の案件をまとめて数万から数十万ほどのパッケージ料金で対応する士業事務所などもあります。初回相談無料といった専門家も多くいるので、実際にご自身の目で確かめてみることをおすすめします。
弁護士に依頼する場合の費用
紛争になる可能性が高い相続の場合は、弁護士に代行を依頼することになります。
基本的に弁護士費用は「相談料」「着手金」「報酬金」の3つで成り立っています。加えて、必要に応じて「日当」や「手数料」がプラスされます。問題解決してほしい内容や解決による経済的利益で費用は変動しますので、依頼する前にきちんと確認しておくとよいでしょう。
銀行に依頼する場合の費用
銀行に相続代行サービスを依頼する場合、遺産総額の〇〇%といった手数料がかかります。この手数料には大抵110万円程度の最低金額が設定されています。また、戸籍謄本や各種証明書の発行手数料は別途加算されたり、不動産の名義変更や相続税の申告がある場合は司法書士や税理士への報酬も別途発生しますので、一般的には士業へ直接依頼するよりも高額になります。ただし、最近では、取り扱う業務を絞った従来より安価なパック商品も出ています。
また、その銀行の預金や金融商品に対しての手数料は割引されることが多いので、銀行での相続手続き代行を検討している方は、被相続人のメインバンクに相談するのがよいでしょう。
相続手続き代行費用についてのまとめ
各手続きの費用について、大体の相場の目安はありますが、どこに依頼するかだけでなく、相続財産の内容や相続人の数、依頼する内容などさまざまな要因でかかる費用は変わってきます。また、お任せパックといった商品もありますが、含まれる内容は多種多様です。中には別料金が追加でかかっていく場合もありますので、表面の金額だけで判断せずに内容をしっかり確認しましょう。
まずは、ご自分の依頼したい内容を把握した上で、代行する業者をいくつか選定し見積もりを取ることが大切です。そして、そこに含まれる内容や明細を比較しながら、どこに代行を依頼するか判断することをおすすめします。
まとめ
相続における代行手続きについてご紹介してきました。代行には費用がかかりますが、専門家に任せることで手続きを適切かつスピーディーに進めることが可能です。相続内容は、多種多様でひとつひとつ異なります。ご自分の相続内容に合わせて、代行先や代行内容をご検討ください。また、どのような専門家に依頼すれば良いかわからないといった場合には、「いい相続」でも無料相談や、信頼できる専門家探しのお手伝いをおこなっています。お気軽にご相談ください。
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この記事を書いた人
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