遺言執行者と相続人は同一人物でもいい?注意点とは
遺言執行者は相続人と同一人物でもよいのでしょうか?
遺言執行者に相続人をする場合は、どのような点に注意すべきでしょうか?
遺言執行者を相続人以外の人(専門家)に依頼すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
この記事では、以上のような疑問に対して、説明します。
遺言執行者と相続人が同一人物でも法的には問題ない
遺言執行者と相続人が同一人物でも法的には問題ありません。
例えば、長男と二男が相続人である場合に、長男又は二男のどちらかが遺言執行者になっても構いません。
相続人を遺言執行者にする場合の注意点
法的に問題がなくても、実務上、問題が生じることがあります。
相続人が遺言執行者になると、次のようなトラブル等になることがあります。
- 遺言執行者に指定されなかった相続人が、そのことを不満に感じトラブルに
- 他の相続人から遺言執行者が遺産の一部をこっそり自分のものにしたのではないかと疑われトラブルに
- 遺言執行者は精一杯取り組んでいるものの不慣れなため長期間を要し、他の相続人から手続きが遅いとトラブルに
- 遺言執行者が自分で手続きができず、結局、自腹で弁護士に依頼することになり、こんなことなら始めから弁護士を遺言執行者に指定していればと後悔
遺言執行を専門家に依頼するメリット
前掲のようなトラブルは、遺言執行を専門家に依頼することで回避することができます。
遺言執行者に専門家を指定するメリットとして、次のようなことが挙げられます。
- 相続人が相続手続きの手間から解放される。
- 相続手続きがスムーズに進むため、相続人が遺産を早期に取得できる。
- 相続人が精神的な負担から解放される。
- 遺言書作成と併せて依頼する場合は、より一層スムーズ。
遺言執行を弁護士に依頼した場合の費用・報酬
遺言執行者の報酬は、遺言書に記載がある場合はその金額に、遺言書に記載がない場合は相続人と協議して決めたり、家庭裁判所に決めてもらうことができます。
低廉な金額を勝手に遺言書に記載しても辞任されてしまうでしょうから、遺言執行者に指定する人に報酬額を確認したうえで、遺言書に記載しましょう。
なお、遺言執行を弁護士に依頼した場合の費用は、遺言の内容にもよりますが、遺言書作成時ではなく、遺言執行完了時に、遺言執行者が遺産から取得する場合が多いでしょう。
日弁連の旧報酬等基準規程(参考資料)
現在は弁護士が料金表を自由に設定することができますが、2004年3月までは、日弁連の報酬等基準規程(旧規程)に則って報酬額を計算しなければなりませんでした。現在でも、この旧規程を参考に報酬を決める事務所が多いため、旧規程について説明します。
旧規程では、遺言執行の弁護士報酬額は下の表のとおり定められていました。
内容 | 報酬額 | ||
---|---|---|---|
遺言執行 | 基本 | 遺産が300万円以下 | 30万円 |
遺産が300万円超3000万円以下 | 2%+24万円 | ||
遺産が3000万円超3億円以下 | 1%+54万円 | ||
遺産が3億円超 | 0.5%+204万円 | ||
特に複雑又は特殊な事情がある場合 | 弁護士と依頼者との協議により定める額 | ||
遺言執行に裁判手続を要する場合 | 遺言執行手数料とは別に、裁判手続きに要する弁護士報酬が必要となる |
「報酬額」欄の「%」は、遺産額に対する割合です。先ほどのアンケートの設例を、旧規程に当てはめて報酬額を計算してみます。
遺産額は5000万円ですから、上の表の「3000万円超3億円以下」に該当し、「5000万円×1%+54万円=104万円」が報酬額になります。
現在はこの旧規程よりも大分良心的な料金設定をしていることが多いようです。
まとめ
以上、「遺言執行者は相続人と同一自分でもよいか」という点などについて説明しました。遺言執行人の選任から、遺言執行者の義務と権限、遺言執行の流れについては次の記事もご参照ください。
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この記事を書いた人
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