協議離婚や調停離婚などの離婚の種類や手続きの流れ、必要書類などを詳しく解説

離婚の手続きは、ただ離婚届を出せば終了ではありません。協議離婚で済めばラクですが、調停や裁判までしないと離婚できない場合もあります。
離婚を決める前にひととおり離婚の種類や種類ごとの流れを把握しておくことが大切です。詳しく解説します。
離婚とは
離婚とは、夫婦が婚姻関係を解消することです。夫婦ではなくなるため、「貞操義務」や「同居義務」や「協力扶助義務」といった義務もなくなり、婚姻費用の分担もなくなります。
また夫婦関係の解消にともなって、名字の変更や戸籍の変動もされます。
死後離婚とは
死後離婚とは、配偶者が亡くなった後に、姻族(配偶者の血族である義父母や義理の兄弟姉妹)との親族関係を終わらせる手続きです。
役所に「姻族関係終了届」を提出することで、死後離婚ができます。「配偶者家族との関係を断ち切りたい」「義両親の介護や生活の世話をしたくない」などの理由から、死後離婚を選択する妻が多いようです。
離婚の種類
離婚には大きく4つの種類があります。それぞれ簡単に説明します。
協議離婚
協議離婚とは夫婦間の話し合いによって合意成立し、離婚条件を決める方法です。裁判所を通さず、離婚届を提出するだけで成立します。
調停離婚
調停離婚とは、家庭裁判所で調停委員を通して話し合いをすることで離婚の成立を目指す方法です。
審判離婚
調停が不成立となった場合に調停内容や提出された書類、その他にさまざまな事情を考慮して、家庭裁判所の審判によって離婚条件を取り決める方法です。
裁判離婚
裁判離婚とは、調停が不成立となった場合や審判に異議があった場合に最終的な手段として、家庭裁判所に提起し、裁判上の手続で離婚する方法です。
裁判で離婚が認められるためには「法定離婚事由」が必要です。
法定離婚事由とは、民法で定められた離婚を認められる5つの事由です。具体的には「不貞行為」、「悪意の遺棄」、「3年以上の生死不明」、「回復の見込みのない強度の精神病」、「婚姻を継続しがたい重大な事由」とされています。
離婚の流れ、費用と必要書類
離婚が成立するまでの流れは、離婚の種類によって異なります。
協議離婚の流れ
- 離婚について切り出す
- 離婚の話し合いをする
- 離婚協議書を作成する
- 離婚届を提出
協議離婚は夫婦の話し合いによって離婚が成立するものですので、夫婦間での同意があれば問題なく即日で離婚ができます。
役所の市民課や戸籍課にある「離婚届」に必要事項を記入し、夫婦の署名捺印と成人の証人2人の署名捺印をした後、未成年の子どもがいる場合は養育者の選択し提出します。これだけなら費用はかかりません。
提出する役所はどこでもかまいませんが、本籍地以外の市区町村役場の場合は婚姻中の戸籍謄本をあわせて提出する必要があります。第三者による代理提出や、郵送でも提出可能です。
また離婚届を提出する前に、慰謝料や財産分与、養育費などの離婚の条件をまとめた離婚協議書を作成しておくと良いでしょう。あわせて、離婚協議書は公正証書にしておくことをおすすめします。
調停離婚の流れ
- 調停の申立
- 1回目の調停
- 2回目以降の調停
- 調停の終了(合意に至らない場合は審判や裁判に移行)
調停離婚は第三者を通して話し合いをすることで、夫婦の離婚の合意をめざします。夫と妻にそれぞれ調停委員がつき、意見の調整を試みます。
調停離婚にかかる時間は半年程度、3回ほどで成立か不成立か決定することが多いようです。
調停離婚にかかる費用
- 収入印紙代:1,200円
- 戸籍謄本取得費用(全部事項証明書):450円
- 切手代:800円前後
- 住民票取得費用:200円
- 弁護士を雇う場合は弁護士費用
調停離婚の必要書類
- 夫婦関係調停申立書(離婚調停申立書)
- 夫婦の戸籍謄本※裁判所によっては住民票も必要になります。
- 収入印紙、切手
- 離婚原因の証拠となる書類
- その他(陳述書・照会回答書・事情説明書など)
審判離婚の流れ
- 調停離婚の不成立
- 調停に代わる審判
- 異議申し立てがなければ審判確定
審判離婚は、当事者が自ら審判離婚を希望して申し立てをすることはできません。調停が不成立となってしまった場合に、あくまでも家庭裁判所が持っている権限によって行われるものです。
審判離婚にかかる費用
- 収入印紙代:1,200円
- 連絡用の郵便切手代
裁判離婚の流れ
- 裁判の提起
- 第一回口頭弁論の指定
- 第一回口頭弁論
- 第二回以降の口頭弁論
- 裁判の判決(判決、和解、却下)
調停離婚まではどのような理由であっても離婚はできますが、裁判離婚の場合、法定離婚事由がないと離婚を認められません。
なお、調停をとばして裁判をすることはできません。
裁判離婚にかかる費用
- 収入印紙代:13,000円〜
- 郵便切手代:6,000円分
- 弁護士に弁護を依頼した場合、着手金、基本料金、成功報酬などが内容に応じて発生します(数十万円程度)
裁判離婚の必要書類
- 訴状
- 夫婦の戸籍謄本及びその写し
- 請求内容によって必要となる書類
- 「年金分割のための情報通知書」及びその写し(年金分割を求める場合)
- 源泉徴収票等の収入の証拠資料のコピー2部(養育費を求める場合)
まとめ
今回は離婚の種類や手続きの流れについて解説しました。協議離婚出ない場合は、一度は専門家に相談したほうがよいでしょう。戸籍の収集や離婚協議書の作成のみなら行政書士に依頼することもできます。
離婚でもめている場合は弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は専門家報酬が高額になることが多いです。まずはどのように離婚を切り出すか、スムーズに離婚の話し合いができるかを検討し、着実に準備をすすめることをおすすめします。
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この記事を書いた人

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