一般社団法人は非営利法人を小規模で設立して、活動内容に縛られずに自由に活動したいという場合に向いている法人形態です。
平成20年12月1日に施行された「一般社団法人および一般社団法人に関する法律」に基づいて設立される法人で、公益法人の制度がスタートしてから100年以上経過していたために、設立要件の厳しさなどが見直されています。
一般社団法人設立の特徴
株式会社やNPO法人と比べた一般社団法人の特徴を見ていきましょう。
公益性がなくても設立できる
かつての公益法人制度では法人の設立にあたって公益性が必要であったために厳しい設立要件を課されていましたが、新制度では事業内容に公益性がなくても登記のみで法人が設立できるようになりました。
簡易に設立、自由に活動できる
設立時に必要な人数が2人以上で済みます。役員も営利型なら理事1人以上(※非営利は3名以上)とNPO法人に比べて少人数での設立が可能です。設立の期間も1〜2週間程度と株式会社や合同会社とほぼ同等の短い期間です。
設立後も決算公告義務はありますがNPO法人のような役所の監督や事業報告の義務などはありません。
またNPO法人の場合、活動目的が法律で定められた特定非営利活動に限られ、不特定多数の人を事業の対象にしなければならないなどの制限がありますが、一般社団法人にはそのような制限はありませんので自由な活動ができます。
設立費用が株式会社より安い
同じ非営利法人であるNPO法人は設立に費用がかからないため、NPO法人に比べるとコストがかかりますが、登録免許税が株式会社よりも安いなどの理由で、一般社団法人は12万程度から設立できます。
一般社団法人設立の特徴まとめ
以上をまとめた表です。設立の手間や活動の自由さで株式会社とNPO法人の中間に一般社団法人があるというイメージです。
事業内容 | 自由 |
---|---|
資本金 | 0円 |
設立者数 | 社員2人以上、理事1人(非営利型なら3名)以上 |
設立に必要な費用 | 12万程度 |
設立に必要な手続き | 登記 |
設立期間 | 1〜2週間 |
設立後の義務 | 決算公告義務のみ |
税務面の特徴
一般社団法人は株式会社と税務上の取り扱いは変わりません。
しかし以下の要件を備えると非営利型一般社団法人として寄付金や会費収入などの公共事業は非課税となり、収益事業にのみ課税されます。
さらに公益認定を受ければ「公益社団法人」として税制の優遇措置があります。
共通条件
- 理事の親族制限(三親等以内の親族が1/3を超えて含まれてはいけない)に違反しないこと
- 解散時の残余財産を国もしくは地方公共団体又は公益社団法人等に帰属する定めが定款に明記されていること
- 過去に定款違反がないこと
共益的事業(業界団体、資格者団体など)を行う一般社団法人
- 入会金や会費など構成員が負担する金銭の額を社員総会で定める旨が定款に明記されていること
- 収益事業を主たる事業としないこと
- 特定の個人や団体に剰余金を分配しない旨が定款に明記されていること
共益的事業を行わない一般社団法人
- 剰余金を分配しない旨が定款に明記されていること
一般社団法人やNPO法人などの非営利法人の場合、税制の優遇措置を受けられることもあるため、非営利法人の税務に関する知識も豊富な行政書士、あるいは税理士との連携が強い行政書士に相談するのがベストです。一般社団法人、NPO法人設立など非営利法人の設立にも実績のある行政書士は設立だけでなく設立後も意識した複合的なアドバイスをくれるので心強いです。
株式会社鎌倉新書