法人全体の96%を占めるのが株式会社です。
会社法施行により設立の制約が少なくなくなり、起業の気運はますます高まっており、はじめて会社を経営する方だけでなく複数の会社を経営される方も増えています。
まずは株式会社を設立するにあたって最低限知っておいた方が良いメリット、デメリットをご紹介しましょう。
株式会社設立のメリット
株式会社にすることで信用を始めとした多くのメリットを得られます。
1. 信用が高くなる
会社は個人事業主に比べると法務局で登記事項証明書を確認すればどのような会社なのか存在を確認できるため社会的信用が高くなります。
後々の取引や採用活動において大きなメリットとなります。
2. 資金調達しやすくなる
銀行融資の場合の信用も高くなりますし、株式を発行して増資や、社債の発行も可能となり資金調達の手段が多様化します。
3. 有限責任になる
個人事業主の場合は事業破綻した場合の負債を私財を処分してでも返さなければいけませんが、株式会社や合同会社は有限責任のため株主が出資した以上の損失を負うことはありません。
株式会社設立のデメリット
株式会社は他の法人に比べると設立や維持に費用がかかってしまいます。
1. 設立費用がかかる
個人事業主の場合は税務署に開業届けを提出するのみで費用がかかりませんが、株式会社は法人設立の中でも設立に要する費用が高くなります。
同じ有限責任の合同会社と比較すると以下のようになります。
株式会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
定款に貼る収入印紙代 | 40,000円 (電子定款認証は0円) |
40,000円 (電子定款認証は0円) |
定款認証手数料等 | 52,000円(約) | 0円 |
登録免許税 | 150,000円から | 60,000円から |
合計 | 24万2千円 | 10万円 |
2. 決算公告義務がある
決算期に数字を公表しなければいけません。通常は定款作成の際に官報に決算書類を掲載する旨を記載しますが、官報の掲載には内容に応じた掲載料がかかります。そのため毎年決算のために掲載費用がかかることになります。
3. 役員に任期がある
取締役が2年、監査役が4年と会社法により役員の任期が定められています。ただし定款の定めにより10年まで延長できます。
任期が終わると役員変更手続きのために登録免許税が必要になります。これは同一人物が引き続き役員になる場合にも行わなければならず、登記を怠ると過料が課されてしまいます。
株式会社の機関
株式会社にはいくつかの機関があります。聞いたことのある機関が多いと思いますが、定義として実際にどういうものなのか具体的に見ていきましょう。
株主総会
株式会社の最高意思決定機関です。すべての株式会社に設置義務があります。
決算期ごとに開催される年1度の定時総会と臨時開催される臨時総会があります。
取締役
株式会社の業務執行を行う機関です。1人以上(取締役会を設置する場合は3人以上)設置しなければいけない義務があります。
取締役会
3人以上の取締役で構成され重要な業務について意思決定を行う機関です。株式譲渡制限会社の場合、取締役会を置かないこともできます。
監査役
取締役の職務執行や会社の会計を監査する機関です。取締役会を設置しない場合は監査役を置かないこともできます。
また会計参与に代えることもできます。
監査役会
3人以上の監査役で構成され監査方針の決定や監査報告書の作成などを行う機関です。大会社(株式譲渡制限会社、委員会設置会社以外)では必ず設置しなければいけません。また取締役会を設置しない場合は設置できません。
委員会
委員会設置会社は取締役会が経営を監督し、業務執行を執行役が行うことで、経営の機動力を上げ合理化と適正化を目指すためにもうけられた欧米式の機関で、委員会は指名委員会・監査委員会・報酬委員会があります。大企業に設置されることが主でスタートアップではほぼありません。
会計監査人
公認会計士または監査法人が計算書類等の監査を行う機関です。こちらもスタートアップではあまり見かけません。
会計参与
公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人が取締役と共同で計算書類の作成を行う機関です。
スタートアップで実際によくある機関設置
様々な機関の組み合わせがありますが、実際には以下のような機関パターンがほとんどです。
株主総会+取締役
取締役が1〜3名程度で、小規模で始められるため最近のスタートアップでよくある組織形態です。
取締役会が置ける場合でも置かないケースが多いです。
株主総会+取締役+取締役会+監査役
中規模で始める場合はこの形態を選択される方が多いです。昔ながらの株式会社の組織形態です。
以上株式会社の特徴についてご説明させていただきました。
次回は行政書士に株式会社設立を依頼した場合に一般的にどのような手順で進めていくのかご紹介させていただきます。
株式会社鎌倉新書