株式会社を設立するためには大きく分けて定款認証登記の手続きが必要となります。
実際に行政書士に会社設立を依頼した場合にどのようなフローで進めていくのでしょうか。
今回は株式会社設立の一般的的な流れをご紹介させていただきます。

定款記載内容を決める

事業内容や会社所在地、設立時期や組織構成、資本金の額、決算期の時期などを行政書士と打ち合わせて決めていきます。

商号を決める

会社名を決めます。商号には必ず「株式会社」の文言を含めなければいけません。
また空白スペースがローマ字表記にしか使えないなど商号に使える文字のルールがいくつかあります。また会社法上問題がなくてもまぎらわしい商号を使用することで民事で損害賠償を請求される可能性もありますので、行政書士と相談しながら決めましょう。
商号は後からでも変更できますが、定款の変更と登記の変更のための実費費用のほか銀行の名義や商材の変更など様々な出費が発生しますので十分に検討して進めてください。
また同一住所に同一商号は使えませんので複数の会社が入っているオフィスビルなどに入る予定の場合は同一商号の会社がないか確認しておきましょう。

設立時期を決める

法務局に会社設立登記申請を行った日が設立日になりますが、土日祝日は法務局が休みのため届け出をすることができません。
また登記は行政書士が代理することができませんので司法書士に依頼するかご自身で行うことになりますが、設立日にこだわる場合は直接法務局に持参した方が確実です。
設立日を決めたら逆算して設立までのスケジュールをしっかり取りましょう。

事業内容を決める

定款の必須項目で「適法性」「営利性」「明確性」の3点を満たしていることが必要です。
会社法では法人は法人の目的の範囲内で活動することが定められているためどんな事業目的を定めるかは大事です。
事業目的に記載されていない事業を行うことはできません
許認可が必要な事業の場合は定款の文言しだいで許可が出ないことがありますので特に注意が必要です。
事業目的を変更することになると登録免許税が発生するため無駄な出費を出してしまいます。
ヒアリングの段階で将来も含めてどのような事業をしていきたいのか、しっかりと行政書士に話しておきましょう。
また融資を受ける場合や金融機関との取引の場合にも事業目的の記載を見られます

会社所在地を決める

会社の本店所在地を決めます。自宅の住所やレンタルオフィスを住所に登記することもできますが、融資を検討している場合などは不利に働くこともあります。賃貸物件の場合は事業所として使用する旨を貸し主に確認しないと後々のトラブルにつながります。
住所記載を市区町村までに止めておくことで同一市区町村内であれば移転しても定款変更をする必要がなく便利です。
逆に同一住所に同一商号を使えないルールを利用して入居予定のビルに後から同じ商号の会社が入ってこないようにビル所在地まで記載して登記してしまうこともできます。
また宅建業の場合は本店所在地と営業所が同じ場所でなければならないなどの要件がありますので業界ごとのルールも行政書士に確認してみてください。
さらに飲食店などで国庫の融資を検討している場合は立地が事業の成功を左右するため、物件を抑えるタイミングなども行政書士に相談してみると良いでしょう。

決算期を決める

決算期をいつにするかも期間設定も自由です。
資本金額1,000万未満の設立の場合は消費税が2期免除となりますので、会社設立日と事業年度を工夫することで消費税免税のメリットをフルに活かすことができます。
ただし決算月は決算対策の時間が取れなくなる恐れがあるため、会社の繁忙期と決算月が重ならないように注意してください。

決算公告方法を決める

決算の他、減資、合併、組織変更の場合にも公告の義務があります。
公告方法は「官報」「新聞」「電子公告」があります。定款に記載がない場合は官報になります。
また官報は掲載料がかかります。

発起人、株主を決める

発起人とは会社設立の企画者で定款に記名押印する人でスタートアップの場合、発起人が出資する発起設立が多いです。
発起人が会社設立を進めていくことになり設立後は株主になります。
株主が株主総会を構成して会社の最高意思決定機関になります。

取締役、監査役を決める

スタートアップでは発起人が取締役になることが多いです。会社設立後の発起人は株主であり取締役でもあるというケースです。
取締役は何人置いても構いませんが取締役が多いと心強さがある反面、意思決定に時間がかかったり分裂して解任に手間がかかったりするというデメリットもあります。
監査役に関してはスタートアップの場合取締役会を設置するケースが少ないため監査役を設置するケースも少ないです。

株式譲渡制限を決める

株式を譲渡するにあたって会社の承認が必要かどうかを定款に置くかどうかを決めます。
譲渡制限を定める会社を「株式譲渡制限会社」と呼びます。
スタートアップの場合株式譲渡制限会社が多いです。

設立時発行株式総数を決める

設立の時点で発行する株式の数を決めます。同時に1株の価格も決めます。
定款の絶対的記載事項ではありませんが、登記の際に発行済株式の総数を記載しなければいけません

発行可能株式総数を決める

将来的に何株まで発行できるかを必ず定款に記載しなければいけません。これを発行可能株式総数といいます。
株式譲渡制限会社の場合は発行可能株式総数に制限がありません。
ただし制限枠以上に増資することになった場合は定款と登記を変更しなければならないため、登録免許税に3万円かかってしまいます。

資本金の額を決める

建設業や労働者派遣業の場合、資本金額が許可の要件になっているため、要件をしっかりと確認するようにしましょう。
融資を検討しているなら資本金が融資の基準額になるため、この段階から行政書士に話しておきましょう。

用意しなければいけないものを確認する

設立日を決めたら逆算していつまでに何を用意するか確認が必要です。資本金の振込は定款作成後になります。
また行政書士は登記の代理ができないため、自分がしなければいけない手続きを把握しましょう。可能であればスケジュールを行政書士に作成してもらいましょう。

定款作成にあたって必要書類の準備

定款作成にあたって印鑑証明書の準備が必要になります。

印鑑証明書の準備

株主と取締役、監査役がいる場合監査役の印鑑証明書を用意します。
法人が株主の場合は登記簿謄本も必要です。

定款作成

打ち合わせ内容を元にして行政書士が定款の原案を作成します。昨今は便利なツールがたくさん出ているため、定款自体はすぐ作れてしまいます。
しかし実際に重要なのは内容です。定款は会社の根本を定めたものです。特に事業目的がしっかりと自分の事業に即しているかよく確認しましょう。
行政書士が公証人チェックを行って問題がなければ発起人が実印で押印し、印鑑証明書を持って行政書士が公証役場で定款認証作業を行います。認証された時点で定款が効力を発揮します。

絶対的記載事項

必ず定款に記載する必要のある項目で記載がない場合定款は無効になります。
目的商号本店の所在地設立に際して出資される財産の価値又はその最低額発起人の氏名又は名称及び住所の5項目があります。

相対的記載事項

効力を生じさせたい場合に記載する事項です。
公告の方法や株券の発行、役員の任期、株主総会の招集通知期間の短縮などが記載されます。

任意的記載事項

自由に記載できる事項です。ただし公序良俗に反するような記載はできません。

登記申請

会社設立業務において主に行政書士の立場としては、法務局に法人設立登記を行うにあたって必要となる定款や議事録などの必要書類の作成とそのアドバイスが中心となり、行政書士は登記の申請代行することが法律上できなくなっています
そのため登記にあたっては定款を渡されてご本人が司法書士に依頼する場合と、行政書士が提携している司法書士へ取り次いで引き続き窓口になって対応する場合とがあります。
あるいはご本人が直接登記申請することも可能です。

法務局に提出する書類

機関設計により提出書類が異なりますが、スタートアップに多い取締役会非設置会社では以下のような書類が必要になります。

  • 登記申請書
  • 登記すべき事項を記載したディスクなど
  • 定款
  • 発起人決議書
  • 取締役、代表取締役の就任承諾書、印鑑証明書
  • 払い込みのあったことを証する書面など

現物出資の場合は他に設立時取締役の調査報告書や財産引継書、資本金の額の計上に関する証明書などが必要になります。

あとは登記簿謄本が取れる時期を待つことになりますので、登記完了日を確認しておきましょう。
許認可が必要な場合はこの後に許認可に進むため再び行政書士の出番です。登記簿謄本が上がるまでに許認可の準備をしておきましょう。


以上が会社設立の手続きとなり登記が完了したら株式会社としてスタートすることになります。
会社設立後にもしなければいけない手続きがありますので、次回ご紹介させていただきます。
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